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2 コメント

今日の一枚(372)

Album: Starting Over
Artist: Kere Buchanan
Genres: AOR, Soft Rock, R&B, Fusion

Starting Over

ニュージーランド、クライストチャーチ市出身のセッションドラマー、音楽プロデューサー。
1968年生まれ。2009年作の1stソロアルバム。日本では2011年に発売されました。

幼いころからTOTO, Steely Danを始めとするAORの楽曲に合わせてドラムを叩いていた彼は、
ニュージーランド国内で12歳の頃にはセッションドラマーとして活躍するようになり、
ジャズのビッグバンドを中心に演奏、カナダで行われたバンクーバー万博では国の選抜バンドの
一員として演奏していた様です。作曲家として最も影響を受けたのはQuincy Jonesであると話しており、
他にもJay Gradon, David Fosterなど、本作は70s後半から80s前半にかけてのアメリカ西海岸の
音楽に強く影響を受けたサウンドとなっています。

87年にセッションドラマーとして本格的に活動を始め、翌年88年にはオーストラリアに移住、
David Mathewsのバッキングなど、オーストラリア国内でのセッションワークをこなす傍ら、
約10年間の歳月をかけて曲を書き溜めて行ったようです。彼自身とボーカリストのGlenn Bidmeadの
ユニットであるKeroscene, Quincy JonesのトリビュートユニットBack On The Block,
Steely DanのコピーバンドBodacious Cowboysと言ったプロジェクトの中で交流を深めてきた
スタジオミュージシャン達による息の合った演奏が楽しめます。
ボーカリストは曲によって変えるスタイルを取っており、自身はボーカルを取っていない辺りも、
ドラマーのリーダー作らしい冷静さが見受けられます。

彼自身のドラムのニュアンスやフレーズ構築の傾向は、明らかにJeff Porcaroのそれに影響を
受けており、スネアやタムの音色や重厚なグルーブはかなりJeffのそれに近い音で、
かなり手数を抑え目に叩いており、まず歌、曲構造の緻密さを聴かせようという意図窺われます。
ゲストボーカリストの選択も素晴らしく、繊細で透明感のあるMichelle Martinez,
ソウルフルでDonny Hathawayを思わせるような暖かみのあるKimi Tupaea,
伸びやかでパワフルな中高音で器用さも兼ね備えたGlenn Bidmead(幾つかの曲では
co-produceも担当しており、本作での貢献度の大きさを物語っています)、
滑らかなハイトーンと煌びやかで軽い声質の中に、Bobby Caldwellを思わせるような、
ブルーアイドソウル色豊かな、表題曲を歌うGeoff Robertsonなど、どれをとってもクオリティの高い
歌が詰まっていて、素晴らしいと思います。

ディストーションの掛かったギターが唸りを上げている#1Never Be Another Next Timeは、
ギターの単音リフを中心に重厚に進行していきます。ギターソロもSteve Lukatherを思わせるような
弾きまくり泣きまくりで素晴らしいです。
続いてTOTOの2ndを思わせるようなジャジーで物憂げなミドルテンポの#2More Than You Knowは、
クリーントーンのシャキッとしたカッティングと単音リフ、枯れたギターソロも良いです。最高。
#3Waiting For Loveでは、へヴィーで存在感の強さを見せるドラムス、
ハモリの心地よいドラマティックなサビ、サビ前の捻った展開が洒脱です。
フリューゲルホルンの柔らかい音のソロもあってお気に入り。
再びウェストコーストロック色の強くなった#4Heartbreaker、
スロウテンポのバラード#5Love's Strongerは、単音カッティングとリムショットの乾いた音が
印象的なリズムパターンで渋く進んでいき、中間部でコーラスが入り一気に盛り上がっていきます。
ピアノの煌びやかなバッキングやコーラスの音処理には、Bobby Caldwellのそれを思わせるような
懐かしさが漂っています。お気に入り。
表題曲の#5Starting Overは、スウィンギーなドラムスとメロディアスでモータウン的なベースラインに
暖かいバラードのメロディ、ハーモニーが乗った一曲。
アウトロに入ったギターソロも弾き過ぎずエモーショナルで最高。
#8Easy Does Itは、James Mullerによる歯切れの良い単音カッティングと多人数による分厚いコーラス、
ハーモニカによるロングソロが入った妖しげな一曲。Kere Buchanan自身による
Rhodesの音も良いです。お気に入り。
ブラスによるメロディアスなイントロで掴まれる#9Through The Tearsは、意表を突くキメを取り入れ
SD風のサウンドにしつつ、遠くで鳴っているギターのコードバッキングはハードロックよりな歪みで、
このバランスが素晴らしいです。ギターソロの出来もNightwalker, Brother To Brotherなど
Gino Vanelliのソロアルバムを髣髴とさせるようで最高。
#10Preludeは、Bill RisbyによるFender Rhodesとシンセによる幻想的なスキットで、
そのままシームレスに打ち込みのリズムとBuchanan自身によるスキャットを
中心としたメロウな#11Hymn For Andresへと繋がって行きます。
やはりここでもオクターブ奏法を効果的に用いたJames Mullerのギターソロが
ジャジー、メロディアスで好みの音です。その後はCraig Waltersによるテクニカルな
サックスソロが交互に収められています。

David Foster流のバラードあり、コード進行の複雑なSD風の楽曲もあり、
70sハードロックに近いサウンドのものもあり、ギターソロなど演奏の完成度も高く、
かなり密度の高い、高品位な本物のAORだと思います。佳作。

Waiting For Love

Starting Over

Through The Tears

コメント

GAOHEWGII 2015/02/21 23:07  編集 URL

Systematic Chaos様 こんばんは

おっしゃる通り、これはいいAORですね。
各曲を聴いているだけでは
ドラマーのソロとは思えなさそう。
演奏では縁の下の力持ちに徹していますが
これだけいい曲を揃えられるのですから
凄い。

バラードの「Starting Over」は初めて聴くのに
とても懐かしい感じがしました。

追伸:

今日、当ブログで

「Blessing Offor/Roots」 (2015)
というアルバムを紹介するのですが
Systematic Chaosさんに
是非聴いてほしいと思います。
お時間ありましたら覗いてみてください。
Systematic Chaos 2015/02/25 23:18  編集 URL

Re: タイトルなし

お世話になっております。
返信遅れてしまいすいません。

GAOHEWG2さんのブログもちょくちょく覗かせて頂いております。
Blessing Offor/Rootsも早速聴いてみたいと思います。

他のネオAOR勢に比べるとかなり渋めの作風だと思いますが、
それだけに耐用年数の長い作品に仕上がっていると思います。
Smooth Reunion, Ole Borud, Mayer Howthrone, State Cowsなど、
AORに関わる若手ミュージシャンの息の長い活動に期待したいです。
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