私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(378)

Album: Colonel Abrams
Artist: Colonel Abrams
Genres: Disco, House, R&B

Colonel Abrams


アメリカ、ミシガン州デトロイト生まれ、ニューヨーク州ニューヨーク、マンハッタン、
イーストビレッジ出身のシンガーソングライター、音楽プロデューサー。1985年作の1st。

10歳の時に建築業に関わっていた父の仕事の都合でデトロイトからニューヨークへと引越し、
幼いころからピアノとギターを弾くようになります。デビュー前から複数のバンドを
組んで活動し、その中にはHeavy Impactと言うバンドや、1970年代半ばには、
かのPrinceがリードギターで参加していた94 Eastと言うバンドでも活動していました。

1980年代半ばになるとLeave the Message Behind the Door, Music Is the Answerなどの楽曲で
始めはヨーロッパを中心に、後にアメリカ国内でもその名が知られるようになって行きました。
1985年にはAMIと言うレーベルと契約し、ニュージーランド出身の音楽プロデューサーの
Richard Burgessと共に働いていたSteven Machatと言う人物に見出され、
ソロアルバムの制作が始まります。

Richard Burgessプロデュース、共作によるTrapped(1985)は、イギリス国内のシングルチャートで
Top5に入り、US Hot Dance Music/Club Playでは首位を獲得するに至りました。
本作は2週間連続でダンスミュージックのアルバムチャートで1位、
シングル盤のTrappedは発売から2年間の間に500万枚以上の売り上げを残し、
1995年にはBoards of Canadaによるカバーも発表されるなど、ダンスクラシックとして親しまれています。
同じく本作に収録されているI'm Not Gonna Let Youは1986年にダンスミュージックチャートで1位、
US Billboard Top 200では75位、US Top R&B/Hip-Hop Albumsでは13位となっています。

その後、大きなヒット曲、ヒットアルバムは無かったものの、BillboardのHot Dance Club Songsでは
80年代から90年代にかけてチャートインしており、ディスコ全盛期からハウス、
トランスミュージック隆盛の時代ににかけて、優れた作品を残しています。
本作も、ディスコミュージック全盛期のサウンドからハウスの間にあるサウンドと言った趣で、
バリトンボイスの渋いボーカルの味わいと煌びやかな打ち込み、ローファイなリズムマシンの音と
合わさって独特な高揚感を生み出しています。

#1The Truthは、シンプルなビートにタムを絡めた打ち込みドラム、ホーンやクリーンのコードカッティング、
単音カッティング、ハンドクラップなどが散りばめられたリズムトラックに、
NJSにも繋がるようなシンセリードが断片的に組み合わせられた一曲。最高。
冒頭では複数のドラムキット、とりわけハイハットの細やかな刻みが目立ったブレイクビーツのようにも
聴こえるリズムが面白い#2Speculationは、シンセのリフの使い方が何とも80s的です。
シンセベースの低音の強調された音も暴力的で懐かしい香りがします。
スウィートソウルなトラックにAbramsによるポエトリーリーディングで始まっていく
#3Never Changeは、ゆったりとしたリッチなグルーブを維持しながら、
途中から太いスラップベースとメロディが入って来て、コーラスの入ったキメを繰り返しながら
盛り上がっていきます。後半ではエレピのリフやストリングスもあり、他のデジタルな音像のトラックとは
一線を画していて良いです。
彼の代表曲となった#5Trappedは、冒頭の歯切れの良くクッたリズムのシンセベースのリフが
繰り返されながらファンキーに進行していきます。音数少ないトラックの中でホーンっぽい
トーンのシンセによるテーマが絶妙です。かなりリバーブの足されたタムのような
音のドラムもクールです。最高。
#6I'm Not Gonna Letは、細かく刻まれたシンセのシーケンシャルなフレーズに、
Chicを思わせるようなカッティング、パワフルなマシンの揺らぎ無いビートが
噛み合っています。お気に入り。
#7Over And Overは、キラキラとしたシンセが揺れ、柔らかいボーカルが絡みつくイントロから、
脱力したボーカルのままリズム隊が入って来て、女性コーラスが挿入され落ち着いた艶消しな一曲に
なっています。最高。
ブラコンテイストが強いバラードの#8Margauxは、サックスの艶のあるオブリガートと
ソウルフルな女性コーラス、グロッケンシュピールのような音のシンセが哀愁を感じます。お気に入り。
続いてスロウテンポのクワイエットストーム#9Table For Twoは、短い一曲ですが囁くような
コーラスの定位が気持ち良いです。お気に入り。

筆者の所有している輸入盤では残りはボーナストラックです。5曲あります。
#10は#5の別ミックスとなっており、インスト部分の長いロングバージョンとなっています。
#11は#6の別ミックスとなっており、こちらもインスト部分の長いロングバージョンになっています。
個人的にはイントロのインスト部分が長くなっていて、こちらの方が
ダンスミュージック然としています。最高。
#12は#1の別ミックスとなっており、エモーショナルでハードロック的な
ギターソロがフィーチャーされています。これもお気に入り。
#13は#7の別ミックスとなっており、アフリカンなパーカッションが追加され、
ベースラインも強調された肉体的なグルーブの強いアレンジとなっています。お気に入り。
#14Music Is The Answerは、元のアルバムには収録されていなかった彼の1stシングル(1984)で、
ソリッドで強いビートとベースにボーカル以外は、僅かにシンセがコードを鳴らすのみで、
本作の中でも飛びぬけてハウス色の濃い一曲となっています。お気に入り。

本作は、2010年にリマスターされCDでリリースされているため、筆者は手に入れることが出来ましたが、
彼のことを知るきっかけとなった山下達郎のラジオ、サウンドストリートで紹介されていた
(と記憶しています)2ndアルバムのYou And Me Equals Usは1987年以来CD化されておらず、
入手が難しい状態となっています。リマスター再発が期待される一枚だと思います。

ブラコンやNJSといった80年代末以降のブラックミュージックを先取りしたサウンドで、
シンセやリズムマシンの古い音やアレンジを含めて、
今聴いてみると個性的な魅力を放っている一枚です。
もっと聴かれるべきダンスクラシックスだと思います。佳作。

The Truth

Trapped

Over And Over

Table For Two

Music Is The Answer
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  1. 2015/03/15(日) 20:51:49|
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Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
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3. ポップス、Jポップ
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5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
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6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
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