私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

2017初夏 私的名盤紹介管理人のおすすめアルバムたち

お世話になっております。
私的名盤紹介管理人のSystematic Chaos(@privategroove)です。

定期的に変更しているTwitterのヘッダー画像を新たに作りましたので、いくつかアルバムを紹介しておきたいと思います。
近年の話題作から隠れた名盤をテーマに組んでいます、爽やかな夏のお供にどうぞ。

twitter header 20170617

昨年年間ベストでも紹介した宇多田ヒカル、Bruno Marsの新譜は素晴らしい完成度でした。
より内省的な側面を強めながら、多くのコラボレーション楽曲で新たな音世界を見せた宇多田、
そしてBrunoは「我々の世代のMichael Jackson再来」と言っても過言ではないアルバムで、
ニュージャックスウィングブーム=NJS再来の兆し、と僕は受け取っています。
JPOPの文脈の中で、NJSを見事に解釈し、それとは聴かせずにテクノポップのサウンドに落とし込んでいる、
Perfume/JPN(2011)もまた、10sJPOPの名盤の一つだと思います。

D'Angello以降のネオソウル、オーガニックソウル、そしてRobert GlasperやKendrick Lamar, Chance The Rapper以降の
ヒップホップ+フュージョン/ジャズロックのサウンドは流行真っ只中であり、
Jordan RakeiはかつてのWeather Reportを思わせるようなサウンド、
プロデューサーのAnderson PaakはそれをSSW的な視点から纏め上げた佳作でした。
Cameron Gravesはそうしたジャズロックのサウンドにメタル~プログレ的なエッセンスを加え、
テクニカルフュージョンとジャズロックの間として、緊張感溢れるアンサンブルを楽しむことができます。
テクニカル系のプログレメタルは、近年Djentと呼ばれる、低音チューニングした多弦ギターによる複雑なギターリフを
中心とした楽曲に置き換えられていましたが、Thank You Scientistは、かつてのDream Theater的な
様式美なサウンドをさらにポップロックへと寄せた好内容で、今後に期待できるバンドです。

邦楽では渋谷系ブーム再来、Suchmosに代表されるアシッドジャズもトレンドとなり、
そこにネオソウル、ヒップホップ+ジャズのサウンドが加わった、新たなグルーブの解釈が共有されています。
Nao Yoshida/Truthは、Jill Scottのようなオーガニックソウルにそういったエッセンスを加え、
Chaka Khanも顔負けの堅い演奏と緻密な編曲によって、邦楽ブラックミュージックに新たな傑作を生み出しました。
冨田恵一の新作は昨年度のベストでも紹介しています。

アニメ音楽は今や邦楽ポップスのメインストリームとも言える売り上げを記録しており、
そこには多くの優れたスタジオミュージシャンやプロデューサーが投入されています。
そして小沢健二の活動再開や、Sing Like Talkingの再結成以降の活躍に代表されるように、
90sポップスと渋谷系の再評価が近年のJPOPのトレンドとなっています。

花澤香菜は渋谷系後期にRound Tableとしてネオアコースティック~シンセファンク、JPOP界隈で
密かな人気を博していた北川勝利をプロデューサーに迎え、現在の渋谷系再評価の中で重要な役割を果たしています。
前作では70s-80s初頭のアメリカ西海岸のフュージョンをテーマとしたサウンドで、
今回はロンドンレコーディングによるUKロック~ソウルからエレクトロファンク、モータウンまで
幅の広く、シックな音作りでゆったりと聴けるアルバムに仕上がっています。

歌謡ロック~メロディックハードコアとしてのアニメソングは、LiSAにその完成形を見ることが出来ます。
UNISON SUQUARE GARDENの田淵智也など、邦楽ポップロックの優れた人材による美しいメロディーと、
若手スタジオミュージシャンのタイトでパワフルなグルーブに満ち満ちていて、
瑞々しく、ハリのあるハイトーンボーカルは何物にも代えがたい魅力があります。
邦楽ポップロック~ガールズロックのトップランナーとして、
Girl's Dead Monster時代から現在に至る過程の中で年々成長を見せています。

Bruno Mars/Finesseでニュージャックスウィング=NJSが再注目を浴びており、
Cool Notes, Toni*3のような90sのNJSも取り揃えました。
90sは宇多田ヒカルやMISIAの1stに代表されるように、邦楽ポップスにもR&Bが大々的に取り入れられた時代でした。
そうした中で、倉木麻衣の初期作品に楽曲提供した石黒洋子のソロプロジェクト、
Yoko Blaqstoneの2005年のフルアルバムは、是非とも聴いておきたい一枚です。

ディスコ再評価の流れでは、現代ブルーアイドソウルの旗手として知られるMayer Hawthrone,
R&B~ヒップホップ系トラックメイカーとして知られるJake OneのTuxedoは、
EWF的な80s当時のディスコに、現代的な音色シンセやマシンドラムを加えた佳作。

Remy Shandのモータウンからの2002年作は、
Mayer Hatrheoneからの流れで聴いて頂きたいブルーアイドソウルの隠れた名盤。
Marvin Gaye的なスケールの大きいトラックからStevie的なジャジーなトラックまで飽きさせず、
柔らかいファルセットと太いチェストヴォイスで巧みなボーカルワークを楽しめます。
2002年というネオソウル全盛の時代に発売されているにもかかわらず、
70sソウルの影響が色濃い本作は非常に貴重な存在であり、
滑らかで聴きやすいトラック、美しいメロディーでAORファンにも十分に楽しめる一枚。

シティポップ~AORは、渋谷系を形成する下地となった音楽であり、そのクラシックスとして、
大瀧詠一や山下達郎、松任谷由実などの職人的な要素が強いポップスも参照しておきたいところです。
山下達郎との関わりが非常に強いグループとしてEPOは見逃せません。
ギターフュージョンとしては、近年アイドル東京女子流のレコーディングにも参加した
土方隆行(SMAP, 角松敏生, 竹内まりや、佐藤博 etc)のソロアルバム、81年作は、
Brecker Brothersに勝るとも劣らぬ引き締まったグルーブを楽しむことができます。

ディスコ以降、ブラックコンテンポラリーとして、打ち込みを中心とした滑らかなで都会的なバラードや、
シンセファンクが人気を博しました。NJS以降、ビートとグルーブがボーカルにおいて重視されていく直前、
90sにソウルシンガーとして活躍したGerald Levertの家族グループ、Levertの86年作は、
M1などクワイエットストームと呼ばれるブラックコンテンポラリーの名盤の一つです。

そういった流れを汲んだONIGAWARAの諸作には、
Emotionsなどのディスコクラシックや、Whitney Houstonの初期作品のような透明感溢れるブラコンが
収録されていて、こちらも目が離せないグループです。

ファンク~ディスコ/ハウス~NJS~ヒップホップソウル/ヒップホップの流れの中で、
さらにリズム中心、ループ中心の作曲へと向かっていった
00s以降のブラックミュージックは、デスクトップミュージックとの相性が非常によく、
tofubeatsは邦人のビートメイカーとして、現在最も話題となっている人だと思います。
BOOK OFF/HARD OFFでCDを掘り起こし、そこから新たなポップスを構築していくスタイルは、
かつての「渋谷系のレアグルーブ評価の構造」と相似形を見せています。

チルアウト的なエレクトロサウンドから80sAORやディスコにアプローチした作品は、
Vaporwaveなどと呼ばれ、日本でもBreakbotやマクロスMACROSS 82-99, Saint Pepsi(Skylar Spence)
(彼らの楽曲にも山下達郎の楽曲(SPARKLE, Love Talkinなど)がよくサンプリングされています)
などが知られています。そうした中では、Jeff Porcaro的な16ビートシャッフルや
甘く危険な香り/山下達郎的なリズムを取り入れたPrepのEPが今年非常に面白い一枚です。涼しげで幻想的な気分に浸れます。

山下達郎の遺伝子を色濃く受け継ぎ、優れたリゾートミュージックを多く遺したベテラン角松敏生も、
今年になり活動が活発化しています。1stのリイシューと、ギターインストアルバムのSea Is A Ladyのリイシューが
行われ、山本真央樹(Dr,DIMENSION, 花澤香菜, やなぎなぎetc)など若手の優れたスタジオミュージシャンを起用し、
元のヴァージョンに勝るとも劣らぬ出来上がりとなっています。朗々としたボーカルも円熟味を増しています。

角松敏生や、オメガドライブの全盛期、Sing Like Talkingを思わせるような、リゾートミュージックの隠れた名グループ、
One Step Communicate(1996)は、角松敏生をバックアップした青木智仁(B),鳥山雄司(G)などがゲストで参加しており、
煌めくシンセサウンドと爽やかなハイトーンボーカルが堪りません。M2では鳥山雄司が弾きまくっています。
同様に、AOR不遇の時代であった90sにおいて輝きを放ったSSW, 東野純直の1st(1993)は、90sポップスらしい
美しいメロディーとシンプルなアレンジでありながらシティ感もあって、これも隠れた名盤と言えます。

Michael McDonaldとKenny LogginsというAORの伝説的なシンガー2人をゲストに迎えた
テクニカル系ベーシスト~プロデューサーのThundercat/Drunkは、
ネオソウル以降ブラックと上述のシティポップ~AOR/フュージョンのサウンドを
極めて高いレベルで融合しており、「時代の求める名盤」といった感のある一枚でした。

いかがでしょうか、皆様の「気になる一枚」は見つかりましたでしょうか。
一部の紹介となってしまいましたが、管理人の「今聴いている」アルバムたちでした。

これから暑くなってきます。熱中症などお気をつけて下さい。
皆様に素晴らしい音楽との出会いがありますように。

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#私的名盤放送もこれから宜しくお願い致します。
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プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
iPod ClassicにTEAC-HAp50またはATH-PHA31i(ポータブルヘッドフォンアンプ)を挿して聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
※当ブログはリンクフリーです。
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