私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

2018年度 私的ベストアルバム15 洋楽編

引き続いて、洋楽作品につき私的名盤紹介管理人が自信を持ってお勧めする15枚の作品たちです。
どうぞ。

【洋楽私的ベストアルバム15】
番外 Francfranc Presents RETRO ELEGANCE/Various Artists
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90年代からインテリア、雑貨販売会社として知られるFrancFrancが、店内放送用BGMとして制作したアルバムです。
基本的には90s末から00sにかけてのネオソウルやヒップホップソウルの楽曲をカバー、
アレンジし直してレコーディングしています。一部に新曲も収録したコンピレーションアルバムとなっています。
Jill Scott feat. Anthony HamiltonによるM1はレトロなヒップホップソウル、Bruno Marsのヒット曲M2、
アシッドジャズ関連ではGroove TheoryのM3, NJS世代ではZhaneのM4, TamiaのM5, その他Erykah BaduのM8など、
これでもかと名曲が詰まった素晴らしいセレクトでした。R&B入門、BGMとして楽しむにもベストな一枚でしょう。一押しです。

第15位 Resume/Moli
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ベルギー出身の19歳シンガーソングライター、トラックメイカーによる1stEP。
インディーポップ系のトラックメイカーですが、サウンドとしては近年のビートミュージック、フューチャーソウルを
基礎としながら、ポップなサウンドの楽曲が揃います。
ビートの黒さや粘りは少なくさっぱりとしていて、M1のサビは80s的なテクスチャーがあり、上物の数も少なくて聴き疲れしません。
チルなシンセのシーケンシャルなフレーズが複数組み合わされたアンビエントソウルM2,
テンポを落としたM3はわずかに訛ったリズムで、後半では徐々にエモーショナルな歌唱に変化します。
同じくファルセットのコーラスにリズムマシンの生々しい音が絡むスロウM4は、どこかインド音楽的なメロディも。
アンビエントR&Bの中にもどこか懐かしさを感じる好盤でした。

第14位 Good Company/Tone Stith
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10年以上USR&Bのトップランナーとして活躍しているChris Brownの最新作リードトラックや、
ブレイク前のDrakeを発見したことでも知られるニュージャージー出身のSSW, 音楽プロデューサーによるEP。
昨年1stを発表し、最新のサウンドのみではなく、オーセンティックなR&Bを作り出しており、
本作は特にBruno Marsが取り上げたことで再度注目を集めているニュージャックスウィング回帰な
Light Flexで注目を集めています(映画Uncle Drewのサウンドトラックに収録されています)。
滑らかで伸びやかなハイトーンが特徴的なボーカルは、90sクワイエットストームの香り漂うM1にぴったりです。
M3はメロディの譜割りは現代の流行りのパターンですが、バッキングのキラキラとしたシンセはブラコン的な音です。
スウィンギーなM4は幾度となくMichael Jacksonの名前が出てくるジャジーな一曲で、巧みなファルセットが光ります。
さらに短めのスロウM6の繊細な歌唱も素晴らしい。リヴァーブの深めに掛かったスネアと太いシンセベースの組み合わせ、
そこに声ネタを重ねて音数少なく進行していくM7は、まさに現代のクワイエットストームと言えるサウンドです。最高。

第13位 Get High/The Doggett Brothers
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UK, ノリッチ出身のソウル、ディスコユニットによる3rdフル。Carl & Greggの二人兄弟によって結成されたグループで、
今作ではアシッドジャズ~UKソウルの名盤、Set The Toneが日本でも人気の高いNate James(私的名盤紹介でも掲載済み)と、
Stevie Wonder的なソウルにSteely Dan顔負けの複雑なコード進行な楽曲で知られるようになった
Jarrod Lawsonをゲストに迎えています。マスタリングにはUK在住の邦人プロデューサー、T-Grooveが担当しています。
(T-Grooveの1stはネオブギーの名盤で、管理人も愛聴盤です)
Nate Jamesを迎えたM1は声ネタを重ね、パッドの醸し出す薄くてコズミックなコードに対して、
Stevieを思わせるボーカルが絡みます。サビはダンサブルなディスコサウンドでありながら、
チルなサウンドはそのままで最高な組み合わせ。今年のブギーの中でも特にお気に入りでした。
平たいビートとハンドクラップの組み合わせで暗く始まるM2、Jarrod LawsonによるM3は一気に生演奏テイストに変わり、
澄んだリムショットのスネア、変態的な多重コーラス、Steely Danも顔負けな精緻なストリングスが彩ります。最高。
B.Thompsonをゲストに迎えたM4はKashifを思わせるシンセのリフ(デトロイトテクノのような音色で)が特徴的なブギーです。
現代的な音色のリズムマシンでBCMのリズムパターンを再現したようなミッドM7は、
後半の単音カッティングのリフを中心としたパートがたまらない。
KING的なアンビエントソウルM9, フュージョン的なギターインストにアンビエントソウルを合わせたM10など、
AOR~ブラコンファンにもうれしい一枚。

第12位 Lost & Find/Jorja Smith
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UK、ウォルソール出身のシンガー、97年生まれ。Drake/More Lifeに2曲ゲストボーカルとして参加して注目を集め、
2018年度のCritic Choice Awardを受賞, グラミーでは最優秀新人賞を受賞しました。
Curtis Mayfieldからの影響を公言しながら、幼いころからレゲエにも触れており、
父がネオソウル系のバンドで活動していたようです。透き通ったハイトーンと柔らかい声質から、かつてのSadeを思わせます。
スウィンギーなビートがNJSを思わせながらも、オーガニックな音色で再構築したようなM1は、
ボーカルが入るとR&Bというよりは、東南アジア的なメロディや節回しがみられ、不思議な魅力があります。
M2もビートはヒップホップソウルのそれに近いグルーブで、これに冷ややかなピアノと70sソウル的なメロディを合わせます。
ヒップホップ的なループの感覚は比較的希薄な一曲です。
Diana Ross/It's Your Moveを思わせるようなピアノリフから始まるM8は、リサフランク/現代のコンピューほど
テンポは遅くなく、ヒップホップソウル的なドラムトラックに歌を載せることで構成しています。お気に入り。
美しいイギリス英語のフリースタイルをフィーチャーしたM9はいかにもネオソウルらしいループが美しい。

第11位 CITY SOUL: FUTURES- SOUL,AOR & BLUE EYED SOUL/Various Artists
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昨年最も読んだ愛読書となったのが元bmr(Black Music Review, かつては松尾潔さんも所属した、
ブラックミュージックを取り扱う専門誌で、現在はウェブ上の雑誌として生き残っています、
普段から最もよくチェックするサイトの一つです)
の編集長である小渕晃氏が編著した「シティソウルディスクガイド」でした。
そこには昨年のベストアルバムに選出したブルーペパーズの福田直木さんも著者として参加していたり、
新R&B入門など、ブラックミュージック関連の書籍を数多く執筆している林剛さんなども参加しています。
そんなシティソウルディスクガイドは重版もされ、注目を集めているようで、これで取り上げたアーティスト、
特に現代のシティソウル(ノーザンソウル、AOR, ブルーアイドソウル、フュージョン、アシッドジャズ、
ブラックコンテンポラリー、NJS, ヒップホップソウル、ネオソウル、アンビエントソウル、フューチャーソウル
などを体系的に指す新たなジャンルの定義)に注目し、
それに適合するアーティストの楽曲を集めたコンピレーションが発売されました。
この内容が素晴らしく、ベストアルバムに選出しました。
TOTO~AIRPLAY, Pagesなど直系のAORではWilliam SikstromやTomi Malm, Steely DanフォロワーのEd Motta,
Monkey House, ブラジル音楽の影響がうかがわれるLucas Arruda, Stevie Wonder的なボーカルのJeremy Passion,
UKソウル~ファンクロックのMamas GunとウェストコーストロックプロジェクトのYoung Gun Silver Fox,
もう少しベテランではSwing Out Sisterとともに日本での人気が高いWORKSHY、
フュージョン寄りのAORとして名作を数多く放ったMichael Franksなどなど、
現代のシティソウルを見事に定義した一枚となりました。
私的名盤紹介の視点は、シティソウルの概念にかなり近いと思います。
そうした意味で、この界隈からは目が離せません。書籍もマスト・バイです。

第10位 Supremacy/Derric Gobourne Jr.
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弱冠20歳にして、自らをNew Jack Singerと名乗るシンガーの1stフル。
Call You TonightのPVは、かつてのBobby Brown/Every Little Stepを思い起こさせるような演出で話題となりました。
最近、NJSリヴァイバルの楽曲が国内外で徐々に出てきています(国内ではRYUCHELL/link, dirty talk/w-indsなどは好例です)が、
そういった勢力の中でも、本作の完成度は圧倒的に高く、NJS当時の名盤群と比較しても引けを取らないと思います。
単音カッティングとブリブリとしたベースの心地いいM1から、NJS、特に初期のBobby Brownの楽曲に近しいトラックが並びます。
現代の録音ならではの分離の良さ、コーラスの心地よさ、トラックの完成度の高さ、
キャッチーさはいずれも見事なものだと思います。
M2はキャッチーなシンセのリフが素晴らしい。M4では典型的なビートに繰り返されるベースリフでミニマルな造りで。
ファルセットで繊細に歌うM5や、Michael Jackson & Rod Tempertonのような質感を見せるM7は特にお気に入りです。
Every Little Stepのリズムパターンをそのまま使ったM8、ブラジリアンなイントロのM9,
ブラックコンテンポラリー後期のサウンドに近いM10、Freddie Jacksonもびっくりの絶品クワイエットストームM11など、
BCM以降のR&B好きをときめかせてくれるサウンドを一杯に詰め込んだ一枚。

第9位 Au Dre/Au Dre
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オーストラリア出身の2人組R&Bユニット。近年リヴァイバルが進むニュージャックスウィングをテーマとした
作品の中でも、彼らのこのアルバムがベストと考えました。実のところ、M1のイントロのフレーズに
ノックアウトされたのが大きかったのですが。
サビ前のストリングスの使い方や、比較的シンプルなサビでも盛り上げ方が圧倒的にうまく、
最高のトラックの一つだったと思います。
後半にはフュージョン的なサックスソロまで入っており、サービスたっぷりです。
キックがビシビシと決まり、90sヒップホップソウル的なメロディが絡みつくM2は少し翳りのある一曲。
シャッフルのM3は少しSteely Dan的なジャジーなコード進行もある変化球な一曲。
さらに緊張感溢れる展開が続くモダンブギーなM4、Mint Condition/Someone To Loveのような
フレーズをテーマにしたクワイエットストームM7も堪りません。
続いてM1同様にNJS的なビートを下敷きにしたM8, M9ですが、特にM9は上物の感じはAOR的で、
独特の新鮮さがあります。ハウス的なM10もまた異色で面白いです。

第8位 AM waves/Young Gun Silver Fox
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ロンドン出身でファンクロック~ソウル、ポップロックの間を行くサウンドで日本での人気が高い
Mamas GunのAndy Plattsと、Shawn Leeの二人組による、現代にウェストコーストロック、AORを甦らせたユニットによる2ndフル。
昨年はTomi Malmの1stフルがTOTO~AIRPLAYのサウンド、David Fosterのサウンドを復活させ、本家に肉薄する
クオリティのアルバムを作り上げましたが、今年はYoung Gun Silver Foxのこれが圧倒的でした。
M1から早速繊細なコーラスが重なる、センチメンタルなウェストコーストサウンドを聴かせてくれます。
後半にはコーラスの効いたエモーショナルなギターソロも。最高。
続いてM2では人力のリズムならではの混然一体となったグルーブが楽しめます。
M3のやや強引な展開とサビの構造は完全にMichael McDonaldのそれで、歌もうまいです。
ストラトの枯れたギターソロも定番ですが、やはりいいものは良い。
さらに何重にも重ねた多重コーラスをフィーチャーしたM5は、後半でほぼ声のみのパートを設けています。
エレピ弾き語りで始まるM6はややブルーアイドソウル寄りな一曲です。少しハネた16分の刻みの作るグルーブと、
豪華なホーンが心地いいM7も素晴らしい。
鋭いホーンのオブリガートが入った重いグルーブのM9など、ジャケットの通り、夕方の海岸が似合う爽やかな一枚でした。

第7位 The Feels & The High/Midas Hutch
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オランダ人プロデューサー、FS Greenによる変名ユニットの1stフル。Midas Hutchの名前は、
おそらくBCMを代表するグループ、Midnight Star/Midas Touchをもじって付けられたのではないでしょうか。
(ちなみにMidas Touchという楽曲は山下達郎/SONORITEにも収録されています)
ゲストにはBluey Robinson, MAAD,Eva(Solangeなど), Kaleem Taylorなどが参加しています。
MAADをゲストに迎えたM1はイントロからBCM全開の打ち込みドラムスで始まりますが、あまり粘りは強くありません。
必殺の80sソウル進行を存分に使ったM2も黒過ぎずのバランスで、
サビの最後のメロディーはFinnese/Bruno Marsを思わせます。最高。
先行シングルのM3ではシンコペーションの多いベースラインとすっきりとしたボーカルの組み合わせ、キャッチーなサビと、
まさに現代版ブラックコンテンポラリーとしてアップデートされた素晴らしいトラックでした。
大仰なイントロとMidnight Star/Curiousを思わせるリズムで始まるムーディーな
M4はトークボックスのうねうねとした音と組み合わせて。最高に僕好みです。
Kashif的なフレーズのシンセをフワフワとした音色に差し替え、クラブミュージック的な展開を加えたM5,
絶品ミッドのM6も、サビまでは00s以降の複雑なメロディーで、サビでは80sソウル的な構造になっています。
特にMarの参加したクワイエットストームM10は、エッジボイスや抑揚の付いたボーカルがオーセンティックなR&Bのそれで、
最もお気に入りな一曲です。Teddy Mikeにも負けないインストブラコンなM11も最高です。
ブラコン、NJS再評価の流れの中でも、特にAOR~ブルーアイドソウル好きの日本人には
間違いなく気に入って貰えるサウンドなのではないでしょうか。

第6位 Geography/Tom Misch
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ロンドン出身のビートメイカー, SSW, ギタリストによるソロ1st。
宅録系のマルチプレーヤーとしてJordan Rakei, FKJ, Alpha Mistらとの共演ののち、遂にアルバム発表となりました。
ギタリストとしてはフュージョン的な音作りであり、リズムギターもソロも見事に弾きこなすのですが、
De La Soulとタッグを組んだM6のように、ラテンフュージョンにネオソウル的なエッセンスを加えた曲など、
ギタリストの枠に収まらない楽曲が多いです。
Lee Ritenourのカヴァーでも知られ、ジャズスタンダードとしても愛されるStevieのIsn't She Lovely
ソロギターでカバーしたM8など収録していたり、全体的に上品で良質なトラックが並びます。
今後、ほぼ確実に現代フュージョンの一翼を担う存在になっていくことでしょう。
ブギーM8では、ディスコの典型的なベースラインと流麗なテーマを組み合わせたさっぱりとした質感に仕上げています。
しかし、M1ではメロウなスムースジャズ的なギターはそのままに、J Dilla的な粘るリズムと組み合わせるあたり、
これまでにありそうでなかった個性的な才能を感じます。アシッドジャズ~ネオフィリーなM3もなかなか良いです。
レイドバックしたソウルM4は薄く流れるオルガンのようなシンセや、素朴なボーカルと合わさり、得も言われぬ淋しさを演出します。
AOR~ブルーアイドソウルのテイストが強いM11は特にお気に入りです。
アルバム全体として非常によく統一されたサウンドで、肩の力が抜けていて衒いのない作品だと思います。
世代関わらず親しみやすく、しかしギターヒーローともなりうる資質を備えた、新たな才能の成長を期待したいです。

第5位 Negro Swan/Blood Orange
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ロンドン出身のSSW, Dev Hynesによるユニット、Blood Orangeの4thフル。
Florence and the Machine, The Chemical Brothersの作品に参加、2011年からBlood Orange名義で活動しています。
プロデューサーとしてはインディーR&Bとチルウェイブ、アンビエントを融合した独特な音楽性のFKA twigsなどを
プロデュースしています。M1はD'Angelo/Black Messiahを思わせるような艶消しな質感の録音で、
暖かみのあるスモーキーなサウンドが並んでいます。最高。
かと思うと、M2では深めにリヴァーブの掛けられたボーカルとアンビエントなシンセがフィーチャーされています。
ジャジーな弾き語りM3は3部作の時代のStevie Wonderを思わせる短い一曲。
ヒップホップソウルの最も重要なプロデューサーPuff DaddyをフィーチャーしたM4は、
当時を思い起こさせるようなスネアはそのままに、穏やかなアンビエントソウルとなっています。
ASAP Rockyをゲストに迎えたM9では、ローファイなドラムトラックに、
深いリヴァーブの掛かったボーカルが歌うメロディは80sソウル的です。
シャワーの音のようなSEから始まるM10はパワフルなファルセットのリードヴォーカルをフィーチャーした一曲で、
これもレトロなサウンドのように見えますが、基本的にはループにボーカルを載せる形で作られています。
後半のドラムマシンが入ってきて、中華メロディなシンセが入ってくるパートが堪りません。
The InternetのSteve Lacy(Kendrick Lamarのプロデュースでも注目を集めています)が参加したM14は
特にミニマルなドラムループがブラコンを意識させるようなフレーズで、特にお気に入りです。
エレキ弾き語りによるM16もStevieを思わせるような節回しと、コーラスの組み合わせが切なく、また懐かしくもある一曲でした。
ヒップホップがシーンの中心となって久しいですが、歌ものとしてのR&Bの魅力を、ただ懐古的に振り返るだけでなく、
現代的なアンビエントソウルやダブ、ヒップホップソウル、BCM, モータウンまで取り込みながら、
新たな形として提示し直した、重要な作品となると思います。

第4位 Ella Mai/Ella Mai
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ロンドン出身のソウルシンガー、1994年生まれ。DJ Mustardに見出されたことがきっかけで有名となりました。
ジャマイカ系とアイルランド系の両親を持つ彼女は、Ella Fitzgeraldから名づけられたということです。
Bruno Mars(FinneseのCardi Bを迎えたリミックスは、今年のベスト・トラックの一つだと思います)の24k Magicツアーに
バックコーラスとして参加(Cardi Bが抜けた後に参加)したりと注目を浴びています。
影響を受けたアーティストとしてLauryn Hill, Chris Brown, Brandy, Destiny's Child, Alicia Keys,Mariah Careyなどを挙げており、
ソロ1stとなる本作も、BCM~90sR&B的なサウンドも収録されています。
チルなシンセのイントロから始まるM2はハンドクラップの音がクラシカルな響きです。
ネオフィリー的な翳りのあるブギーM3は難しいリズムのメロディを見事に歌いこなしていきます。
サビメロは一部独特な中華メロディです。Chris Brownをゲストに迎えたM5、John Legendをゲストに迎えたM9もありますが、
なんといってもM9のイントロが圧倒的に素晴らしい。シンバルのサスティーンの長さ、リズムマシンそのままなリズムが、
往年のブラックコンテンポラリーそのもので、しかしながらそこにヒップホップソウル的なメロディ、
アンビエントソウルのテクスチャーをも見事に取り込んだ一曲に仕上げています。
この曲のみでベストに入れようと考えました。私の理想とする現代ソウルの形だと思います。

第3位 It's About Time/Nile Rodgers & Chic
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伝説的なディスコ/ファンクユニットであるChicと、そのギタリストNile Rodgersによる26年ぶりとなるニューアルバムです。
カッティングギターという奏法そのものの革命を起こしたNile Rodgersは、ディスコミュージック再評価の
きっかけとなったDaft PunkのRandom Access Memoriesにゲストとして参加し、起爆剤となりました。
本作のリードシングルSoberはニュージャックスウィングの手法を用い、2Stepを代表するCraig Davidを起用しているあたり、
懐かしさもあります。すべての楽曲を、当時の焼き直しではなく、普遍的なダンスミュージックとして成立させ、
そのすべてを当時と変わらないパッションで演奏していて、胸が熱くなります。
リズムの面では、DJ Cassidy/Make The World Goes Roundを思わせるモダンブギーM1(Anderson Paakが共作)など、
全体的にスクエアぎみなものが多い印象です。
NaoによるMinne Liperton系のキュートなボーカルのM2,Craig Davidを迎えたM3は、
Guy/Groobe Meのサウンドを意識して作った
というだけあり、往年のニュージャックスウィングの美味しいところを取り入れながら、
トレードマークのギターバッキングと見事に組み合わせています。最高。
コーラスの音の配置や、オートチューンのケロりで音色を調節し、声ネタ的にも使ってしまうM4も面白いです。
M5のコーラスのフレーズもNJSならでは。
Dance, Dance, Danceを思い起こさせるパートに、ポップなサビが組み合わせられ、
現代的にアップデートされたM6は、ビートの重さも相まって、
ディスコ現役世代にも広く受け入れられる一曲だと思います。これもお気に入り。
Al Di Meola, David Sanbornなどへの作品参加で知られるスムースジャズ系鍵盤奏者、Philippe Saisseを
ゲストに迎えたM7も、カリカリしたカッティングをバックに、緊張感あふれるピアノソロを全開にフィーチャーしています。
しかしながら楽曲全体では非常にダンサブルで、後半にはテクニカルなカッティングソロ、ギターとボーカルのユニゾンもあり、
フュージョンファンにはたまらない一曲です。
Elton Johnをゲストに迎えたM8、Lady Gagaを迎えたM9と、後半ではコーラス、歌唱をフィーチャーして
フィリーソウル、後期モータウンの感触が強くなっています。
かつてのChicのスタイルの核となる部分はそのままに、新たなダンスミュージックとして見事に再構築した名盤といえるでしょう。

第2位 Line By Line/Prep
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ロンドン出身の4人組ポップスユニット。2015年デビューで、Vaporwaveを思わせるようなジャケットや、
日本のシティポップ/シティソウルからの影響を感じさせる彼らは、特に日本での人気が大きいようです。
今回はPaul Jackson Jr.のほか、LA出身のファンクバンド、
Vulfpeck(彼らもJB~AWBのちょうど間を行くような、素晴らしいグルーブを残しています)が
参加していたりと、話題に富んだEPとなりました。ムーディーでキャッチーなAOR, シティソウルがたっぷりと詰まっています。
表題曲M1からVaporwaveを通して再度AORを見つめ直したような、冷ややかでグルーヴィーなシンセAORに仕上がっています。
M2はBobby Caldwellを思わせるようなコード進行でありながら、無機質で独特の淋しさに満ちています。
Misty Mauve/山下達郎などと並べて聴きたい一曲。最高。
Monsta XのShownuによるソウルフルなボーカルもあの時代を思い起こさせてくれます。
いかにもJeff Porcaroの作りそうなリズムパターンを採用したM3も、少し鼻の掛かったボーカルと合わさると、
Smooth Reunionを思わせます。
サビではMichael McDonald参加期のDoobie Brothersのよう、これも最高です。
続いてM4は少しKenny Logginsの作品にみられるような、メロディックハードロック的なリズムでありながら、
やはり冷ややかな質感があります。
Paul Jackson Jr.のカッティングがフィーチャーされ、よりレイドバックしたグルーブに生まれ変わったM5、
M6では平板な打ち込みビートとLowdownのベースラインを採用したクラブサウンド、これも面白い。
tofubeatsがソロアルバムで指向しそうなサウンドです。まさに僕の趣味全開なサウンドで満ちた一枚でした。

第1位 Hive Mind/The Internet
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LA出身のフューチャーソウル、ファンクバンド。Tyler The Creatorの結成したOdd Futureの一員でもあります。
J Dilla, D'Angelo革命以降のブラックミュージックでは、徐々にトラックメイカー1人で楽曲を作り上げるスタイルが
中心となっていますが、彼らがバンドという形式を守りながら、こうした最新のブラックミュージックを演奏していくという点では、
かつてのThe RootsやRH Factor,さらにはTony! Toni! Toné!, Mint Conditionなどから脈々と続く遺伝子を感じさせます。
ジャケット写真は90sを思わせるようなファッションに身を包んでいて、ダンサブルなサウンドへと変化しています。
アタックの強いベースリフから始まるM1でも、ネオソウル的な不穏なコーラスが絡みつきながらもファンキーに仕上げています。
Michael McDonald/I Keep Forgettin'のリズムで始まるM2も、
エレピが入ると一気に90sUKソウルのようなテクスチャーになります。最高。
Earth, Wind & Fireのインスト曲のような雰囲気を纏うM4, フェイザーの掛かったカッティングが心地よいM7,
これまた80sソウル的なカッティングのリフとファルセットのボーカルによるM9も、ループ感が強く現代的に仕上げています。
サスティーンの短いスネアが刻む平たいビートに低域の多いベースが絡むM10もメロウで素晴らしい。
TLCやSWV, Kut Klose, Xscapeなど90sガールズヒップホップソウルを思わせるようなM11,
かと思うと細かく刻まれるハイハットの切れ味鋭いファンクM12は、
後半で人力ドラムンベースをベースにしたメロウR&Bへ変化し、これも最高。
アンビエントソウルM13でも、やはりベースの存在感はしっかりとあり、
現代のブラックミュージックシーンでも異彩を放つ彼らの最高傑作と思います。

以上、遅れてしまいましたが私的名盤紹介の年間ベストでした。
邦楽ベストアルバム15
も合わせて是非、お聴きになってみてください。
今年はInstagramも合わせて開始しています、音楽以外のテーマにも取り組んでいこうと考えておりますので、ぜひどうぞ。
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  1. 2019/01/09(水) 23:05:52|
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Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
①DENON PMA-50 + Zensor1 (USB-DACプリメインアンプ+スピーカー)
②iPod Classic+TEAC-HAp50(ヘッドフォンアンプ)
③ONKYO DP-X1A のいずれかで聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
※当ブログはリンクフリーです。
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※Twitterもやっております。
アカウント名はprivategrooveです。
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