私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

私的名盤放送第57回「現代AOR, クワイエットストーム特集」

私的名盤放送第57回「現代AOR, クワイエットストーム特集」

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「放送アーカイブはこちらから」

M1 Always Love You /Ole Borud 『Outside The Limit』 (2019)
M2 守りたいもののために /伊藤美来 『PopSkip』 (2019)
M3 Just Let Me Love You /Stroke 『Stroke』 (1985)
M4 Baby, You Belong to Me /Magic Touch 『Baby, You Belong to Me』 (1973)
M5 Freezing Midnight /高尾直樹 『A Voice of Love & Peace』 (2000)
M6 Lock Me Up /Robert Winters and Fall 『L-O-V-E』 (1979)
M7 Don't Stop /Dr. York 『New』 (1985)
M8 ターミナルセンター /春野 『CULT』 (2019)
M9 Never Gonna Give You Up /Kere Buchanan 『Goodbye Yesterday』 (2014)
M10 Get At Me /Smooth Approach 『You Got It』 (2000)
M11 Special Part of Me /Lloyd Price 『The Nominee』 (1978)
M12 Lines /Norman Saleet 『Here I Am』 (1982)
M13 流星タクシー /ベルマインツ 『流星タクシー/ケセラセラ』 (2019)
M14 You /Billy Preston 『Late At Night』 (1979)
M15 エゴアイディール /水樹奈々 『SMASHING ANTHEMS』 (2015)
M16 リフレイン /浜崎容子 『BLIND LOVE』 (2019)
M17 Right from Wrong /Henrik Hansson 『Right from Wrong』 (2018)
M18 Give A Little Love to Me /Maxine Nightingale 『It's A Beautiful Thing』 (1982)
M19 Would You Please Be Mine /Rose Royce 『Golden Touch』 (1980)
M20 Love Me All My Life /Cool'r 『Cool'r』 (1989)
M21 ジャンクション /あっぷるぱい 『あっぷるぱい』 (2012)

おまけ30分
M22 ラッキー・ガールに花束を /山下達郎 『SONORITE』 (2005)
M23 Part Time Kiss /SMAPPIES 『SMAPPIES - Rhythmsticks -』 (1996)
M24 あつい気持ち /One Step communicate 『あつい気持ち』 (1996)
M25 こわれそうよ /ACO 『Lady Soul』 (1998)

【放送後記】
またしばらくぶりの放送となりました。いかがお過ごしでしょうか。
来月末日まで救急科での勤務が続くため、相変わらず不規則な生活が続いております。
今回の放送は、主に90年代以降のAORとクワイエットストームを中心に取り上げました。

80年代のAOR全盛期が過ぎると、CCM系のアーティストが優れた作品を残しましたが、
メインストリームとしてのAOR人気は落ち込んだ時期が続きました。
90年代末からは、北欧で一部メロディックハードロック、AOR系のアーティストが現れるようになりました。

Ole Borudはノルウェー出身のSSW/ギタリストで、構築的な楽曲と卓説した演奏力、ライブパフォーマンスで、
何度か来日公演もこなしている、北欧AORの代表的なアーティストの一人です。
今年リリースされたニューアルバムからタイトなリズム隊と、Steely Dan以降のジャジーなコード進行の中にも
スリリングなホーンはEWF的で、スピード感あふれるAlways Love Youを選びました。
ギターソロ前の展開はTOTO直系のキーボードのバッキングが素晴らしいです。
その他にもBCM的なアプローチの楽曲もあったりと、飽きさせない造りです。名盤。

北欧ではありませんが、ニュージーランド出身のドラマー、プロデューサーのKere Buchananも、
希少な現代のAOR系アーティストかと思います。ドラマーとしてはJeff Porcaroからの影響を強く感じさせるタイム感ですが、
より80年代後半のスムースジャズにも繋がるようなプレイです。
Steely Dan, TOTOからの影響を公言する一方で、楽曲はよりブラックミュージックよりのものが多く、
2014年作の2ndからBill Champlinをゲストに加えたNever Gonna Give You Upを選びました。
多重コーラスによるイントロから始まり、シンプルな8ビートのリズムパターンでありながら、
鋭いハイハットの刻みで緊張感をもたらしています。80年代のRod Tempertonの楽曲を思わせるタイトさですが、
Bill Champlinのボーカルが加わることで黒過ぎない出来になっています。

マイナーなアーティストでは、おそらく名前から北欧出身と思われる仙台在住のSSW, Henrik Hanssonの
唯一作と思われるシングル、Right from Wrongです。詳細は全く不明ですが、録音状態などから
自主制作と思われるものの、楽曲自体はさきほどのKere Buchannanに通じる、
Steely Danフォロワー好きには堪らない一曲です。Bernard Purdieの得意としたシャッフルのリズムパターンに
音数少ないピアノ、ディストーションギターのバッキングが組み合わさった透明感ある一曲です。
音のテクスチャーと合わせてJay Graydon/Airplay for the Planetにも収録されていそう。

以前にも紹介した声優、伊藤美来の2ndフル、PopSkipからとびきりAOR/シティポップ色の強い「守りたいもののために」です。
シタールのオブリガートと細やかなドラムスの作るゆったりとしたグルーブ、
松任谷由実/中央フリーウェイを思わせるサビの展開(いつものわたしさん@karonsenpaiからご指摘頂きました)に、
彼女のキュートなボーカルが載り、ソウルフルなブラスの組み合わせで現代的な音にアップグレードされています。
ラストサビの直前の部分は平井堅/片方ずつのイヤフォンのような90sポップスの香りも感じさせます。
本作は、今年の聴いてきたアルバムの中でも抜群におすすめの一枚です。昨年の早見沙織/Junctionに負けずと劣らぬ傑作。

続いてはRose Royce, Jean Carneなどの作品をリリースしたOmni Recordsから発売された
詳細不明の男女混成5人組のボーカルグループ、Strokeによる1985年作のセルフタイトルから、
イントロのハーモニカを思わせる安っぽいシンセリードのフレーズ、シンプルな繰り返しのサビ、切ないメロディと、
完璧なクワイエットストームの一曲です。

中高生時代から聴き続けている山下達郎さんのサンデーソングブックですが、最近になってDiscogsで
レコードを買い漁るようになり、達郎さんが掛けているレコードたちが如何にレアなものが多いのか思い知らされています。
今回は、詳細不明のボーカルグループ、Magic Touchが唯一リリースした1973年作のシングル、Baby You Belong To Meを
手に入れました。甘く蕩けるファルセットボーカルに、スネアのタメの効いたフィルインを起点にして、
流麗なストリングスが包み込むサビへつながっていくスウィートソウルです。

さらに、デトロイト出身の鍵盤奏者、シンガーのRobert Wintersによるグループ、Robert Winters and Fall
も山下達郎レコメンド(アルバムMagic Manをサンデーソングブックで取り上げたようです)ですが、
今回は1982年作のL-O-V-Eから、クラップの入った、スラップベースの粘り付くブギー、Lock Me Upを選びました。
リズムパターンはシカゴソウルに代表的なそれですが、メロディアスなベースラインと鋭いホーンが
合わさってシティソウルな1曲に仕上がっています。

続いてニューヨーク出身のシンガー/プロデューサーのDr.York、1985年作からKashifがプロデュースを務めた
アーバンダンサー、Don't Stopも最高です。シルキーなストリングスと爽やかなコーラスを中心にしたフック、
時代を感じさせるシンセのリフレインなど、Michael Wycoff, Starship Orchestraなどに近い
重いグルーブに満ちた一曲です。軽いサウンドになりがちなこの時代のBCMの中でも異彩を放ちます。

ボカロPとしての活躍でも知られるトラックメイカー/SSWの春野による春野名義の1stEP、CULTから
リードトラックのターミナルセンターです。Vaporwave~最新のローファイヒップホップの影響を受けた、
ぼやけたテクスチャーのエレピと、生々しいリズムマシンの組み合わせが都会の夜を思わせるトラックです。
メロ部分の展開は歌謡曲的な懐かしさがありながら、BCM的なサビのハーモニーへと繋がる、
現代版クワイエットストームの佳作だと思います。Nujabesなど好きな方には堪らないサウンドだと思います。

続いて、R&Bではオハイオ州クリーブランド出身の4人組コーラスグループ、Smooth Approachの00年作, 2ndから
Isley Brothers/For The Love Of You~アメリカ大好き!/今田耕司(tofubeats/流星とも言いますが)
を思わせるシンセのリフを中心として、当時流行りの変則ビート、
NJSに多く使われるホーンのSEを加えたスロウジャム、Get At Meです。
本作のヒットでO'Jays, Zhane, KCi & Jojoとの共演を果たしますが、グループとしては短命に終わることとなりました。

1933年生まれ、ルイジアナ州出身のベテランシンガー、Lloyd Priceの1978年作からフィリーソウル全盛期の
サウンドそのままなダンサー、Special Part of Meも最高です。この時代ならではの生演奏の分厚さを楽しめます。

Air Supply/Here I Amをプロデュースしたことで知られるプロデューサー、/SSWのNorman Saleetによる
唯一のソロ、1982年作から、TOTO直系な熱くハードなギターソロが見事なLinesです。

関西学院大学の軽音サークルでMr. ChildrenやBUMP OF CHICKENの非常にハイクオリティなコピーをされているのを
発見し、見つけ出したバンド、ベルマインツは、ここ最近の邦楽ポップス~ロックの中でも特にお気に入りです。
Gt/ボーカルを務める盆丸一生さんの耳から離れない個性的なトーンの伸びやかなボーカルと、
シャキシャキしたカッティング、角松敏生以降のシティポップ/リゾートミュージックの香りも漂うシングル、
流星タクシーは一押しです。先日新たにEPをリリースしており、ブルー・ペパーズと並んで今後の活躍が楽しみです。
デビュー間もないのにも関わらず自身のサウンドを確立していて、スロウのB面ケセラセラではジャリ付いたギターを
バックにフォーキーなサウンドと、正統派JPOP/ロック復権の兆しを感じさせます。

「5番目のビートルズ」とも呼ばれ、Rolling Stones, Ray Charles, Sam Cooke, King Curtisなど
数多くの大物のバックを務めた鍵盤奏者、シンガーのBilly Prestonが1979年にMotownからリリースしたソロから
Gloria Jonesと共作のこみ上げる切ないメロウグルーブ、Youを選びました。David T. Walker(G), Paul Jackson Jr.(G),
Chuck Rainey(B), James Gadson(Ds)などが参加しています。シンプルなフックが繰り返される構造ですが、
メロディアスでモコモコとしたベースラインや枯れたギターソロで飽きさせません。

水樹奈々さんの楽曲からは、2015年作のSMASHING ANTHEMSより自身による作詞/作曲のテクニカルフュージョン、
エゴアイディールをどうぞ。上松範康作曲のNext Arcadiaに次ぐ演奏難度の高いトラックですが、
ライブでも完璧な再現度でただただ驚かされます。

ニューウェーブ、テクノポップを基調として様々なテイストの楽曲を残している
2人組音楽ユニット、アーバンギャルドのボーカリスト、浜崎容子の最新ソロアルバムも取り上げました。
角松敏生プロデュースでありながら、アーバンギャルド特有の暗く陰鬱な空気を残した独特なサウンドに仕上がっています。
森俊之(Key), 鈴木英俊(G), 本田雅人(Sax)などのほかに、
山内薫(B), 荒山諒(Ds, Jacob Collier, 寺井尚子、中島美嘉etc)など角松敏生のレコーディング、
ライブサポートで関わるスタジオミュージシャンが複数参加しています。
インストBCM~マシンファンクといったイントロから始まり妖艶なAメロへ移っていくバイブルは特に不思議な一曲。

何度かお掛けしているUK出身のシンガー、Maxine Nightingaleの1982年作(USR&B#35)から
ポップで多幸感溢れるアーバンブギー、Give A Little Love (To Me)です。曲ごとのクレジットは記載されていませんが、
James Gadson(Ds), Ed Greene(Ds), Cornelius Mims(B), Bob "Boogie" Bowles(G)などが参加しています。
良い意味で黒過ぎないすっきりとしたグルーブ、コケティッシュなボーカルの組み合わせが
UKソウルらしい爽やかさを生み出しています。これも名盤です。
以前お掛けしたGemini/Risingなどと並べて楽しみたい一枚です。

サイケデリック・ソウルと言われた1970年前後のTemptationsをプロデュースしたことで知られる
Norman Whitfieldがプロデュースした代表的なグループが、LA出身のRose Royceです。
彼らの1980年作からKenny Copelandの圧倒的な声量の太いファルセットで聴かせるメロウ、
Would You Please Be Mineを取り上げました。
その他にもUS Pop, R&Bで1位となった標題映画のタイトルソング、Car Washや、
BeyoncéのカヴァーしたWishing on a Starなどを収録した傑作です。

最後には2010年に結成されたインディーポップバンド、あっぷるぱいのセルフタイトルです。
SUGAR BABEが演奏しそうな楽曲をコンセプトとして、タイトルからサウンドの全てまで
当時に近づけた愛を感じる一枚です。ジャンクションはパレードを思わせるイントロ、本家よりも
もう少しジャジーなハーモニー、ウォーキングベースで彩る涼しげなトラックです。

おまけの30分では、管理人のこれまでの音楽遍歴を振り返りながら、「昨今のストリーミングサービスについて」、
思うところを気ままにお話ししました。

先日は名古屋市内のハードオフを回ったり、都内へ買い出しへ出かけたりと新たにアナログレコードを
掘り起こしておりますので、放送に反映できればと考えております。次回もお楽しみに。

前編

中編

後編

おまけ


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Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
①DENON PMA-50 + Zensor1 (USB-DACプリメインアンプ+スピーカー)
②iPod Classic+TEAC-HAp50(ヘッドフォンアンプ)
③ONKYO DP-X1A のいずれかで聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
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