私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

社会人になって「自分」を見失ってしまう怖さ、「NPC」になってしまった人たちへ

いつも私的名盤紹介をご覧くださっている皆様、ありがとうございます。
管理人の@privategrooveです。

初期研修の2年間が終わり、4月からはいち内科医として、自分の専門とする診療科の道へ本格的に
進むことになります。

学生時代から、悩みごとがあると、銭湯に友達同士で集まって話し合う習慣がありました。
「裸のつきあい」とはよく言ったもので、働き続けることの意味や、各々の恋愛、結婚観、哲学や、
お互いの家族の悩みまで、隠すことなく開陳できた時間は、自分にとって宝物ですし、
今でも悩んだときは友人と銭湯へ繰り出しています。

20代も後半となり、30歳が近づくにつれて、友人たちも様々なライフステージを迎えています。
そんな中、僕と親友の間でよく話題に出ることととして、
「働きだしてから、「本来の自分」を見失ってしまっている人が多くなっていないか?」
という話題がよく出るようになりました。

社会人が忙しく、自分の好きだった趣味や遊びに取り組めなくなったり、
たまの「飲み会」だけを楽しみにする様子はよく見受けられます。

医師という職業は特殊です。当直や夜勤、待機で家から呼び出されることもしばしばであり、
仕事と病院の中での価値観が、如何にしても人生の中心に据えられがちです。
ICUの患者さんのために何日も泊まり込みで働いたり、睡眠不足の中、救急初療室で働いた記憶をはじめとして、
仕事を通して胸が熱くなったり、あるいは強い自責の念や無力感に苛まされることもあります。

たった3年間の経験ですが、されど3年です。仕事を通した人間的成長というものは、たしかに存在するだろうと思います。

しかしながら、学生時代に輝いていた目に生気がなくなっていたり、個性に富んだエキセントリックな性格の医学生
(医学生というのは変わった性格の人が多く、それがまたいいところでもあります)
が、僕から主観的に見て、「面白み」や「クセ」がなくなってしまう過程を目の当たりにしました。

仕事以外の趣味その他の活動に取り組んでいることが、「自分を見失わないこと」とイコールである、
という短絡的な理論に終止するつもりはありません。医学生の頃思い描いていた生活と、
実際の勤務医の生活にギャップを感じ、進路に深く悩んだり、時には選択を変えたりする人も多いです。
また大抵の場合、優秀な医学生は「与えられた役割をこなす」ことが「出来てしまう」ことが多いので、
本来この仕事がやりたかったのか、自分にとっての仕事の位置づけ、相対化が出来ずに忙殺される人が多いように感じます。

以下では、「自分を見失ってしまった人」をテレビゲームの用語を用いて、NPC(non player character)と定義しようと思います。
ここでは、仕事を始めるにあたってNPC化した人たちについて、銭湯で僕と友人諸氏で話し合った内容を、
纏めてみたいと思います。

あなたは、「NPC化」していないでしょうか?これは、自分にとっての自戒でもあります。
僕も、懐疑的に思索し続ける人間であろうと思います。

Q1 仕事を人生の中心にしている人について、本当にあなたが取り組んでいる仕事は、「進んで取り組みたい」と
思えるものでしょうか?


・人間は、仕事にせよ、家庭や趣味、芸術や友人づきあいにせよ、
何事かに取り組む際には、モチベーションや体力といった「リソース」が必要です。
仕事で失っているリソースがもし、余っていたとしたら取り組みたいことはないでしょうか。
・仕事に人生のリソースをつぎ込むことが血肉化すると、その他のことにリソースを割くことが
「おっくう」になっていきます。最終的には、それまで好きだった趣味や気晴らしが、「興味をそそられないもの」へと
変化してしまいます。やや飛躍した論理ですが、これは抑うつ状態またはその前段階と似通っています。

Q2 あなたは、今の生活を「俯瞰的」に見られていますか?

・自分が内発的感情に基づいて取り組みたいこと(仕事でも、恋愛でも、趣味でも構いません)が、
これといって存在せず、職場や周囲の人間と同様の行為を行っていく(入局、当直、大学院進学、専門医etc)、
あるいは、「常識的なライフステージ」に合わせて日々を送っていませんか?これが、NPC化の過程です。

・今、自分が日々リソースを割いている行動を明文化しましょう。その一つ一つが、自分の自己実現や
モチベーションを伴った行為なのかどうか、社会構造に迫られて「強迫」されていないかをまず考えましょう。

・それをもとに、行動や生活を変えてみるのも、よいかもしれません。一つ言えることは、これまでの習慣や行動を
変更するのはストレスを伴うことなので、強い意志を持つことが大切となるでしょう。

・時には職種や部署を変更することが正解かもしれません。

・いちばん大切なのは、まず現状を見直すことです。その結果、もしこれまでと「リソースを割く内訳」を
変えないとしても、自分が、いわゆる「社会の歯車化」していないかについて自覚的になることが大切です。
(これは、結果として組織の歯車となっていることが悪と断じているのでは決してなく、与えられた役割を、
内発的な感情やモチベーションに基づかないで、ただ「こなしているだけ」になっていないか、問いかけ続けるということです。)

・一言でいうと、「無知の知」を得ることが大切だということです。

・自分がリソースを割く行動を決める際(例えば、絵を描く仕事につきたい、ミュージシャンになりたいなど、何でも結構です)
には、「自分が特別(才能を持った)な存在である」という自覚を捨てることが大切です。
どんな分野でも、そしてそれをどんなに極めたとしても、常に自分より実力が上回る人というのは存在します。
努力することは大切ですが、ある程度、自分の気持ちや自尊心と適切な折り合いをつけることが大切です。

Qあなたは、「余暇」の時間に、何かやりたいことがありますか?
(「余暇」とは、仕事や、ライフステージに合わせたやるべきDuty(家事や子育て、介護なども含まれるでしょう)がない、
あるいは直ちに取り組む必要がないとき)


・休みがあっても特にやることがないので、仮に仕事で忙殺されてもなんとも思わない、という人がいた場合、これは危険です。
あなたがやっているその仕事は、身を削って取り組みたいことですか?一度立ち止まって考えましょう。

・人間にとって、何か新たな行動を起こすためのモチベーションや体力、知識を得るための時間などをリソースと定義すると、
一人ひとりにとって「リソース」は有限のものです。そのリソースを何に割きたいか、を何度も自分に繰り返し問いかけましょう。

・ただ日々を周囲の人やライフステージに流されるがままに過ごし、社会人として与えられた役割を果たし続ける歯車は、
ヒットした=TVアニメAngel Beats!に現れたNPCと同一です。

以下は、さらに僕の主観的な価値観を書きます。

例その1
医師は、同調圧力が強い、いわゆる「体育会系」な価値観を中心に据えている人が一定数いるようです。
つまり、エリートとして大学を卒業し、ハードに働いてキャリアを積み重ねていく流れこそが「正解」であると規定する価値観が
共有されがちであると思います。

例えば「専攻医を途中で辞め、新たな分野へ切り替わる」などの事例では、
「研修をやり通す精神力や責任感がない人間」と評価されることが間々あります。
(実際にこのようにハッキリと述べる人は居ませんが、このように見なされることも多いようです)

しかし、実際本人は、様々な患者さんや人々と、新たな業務を介して人間的成長を得ていたりして、
「本人から見て」(ここが大切)充実した毎日を送っていることもあるでしょう。

この事例では、「彼なりの辞めた理由があるのだろう」「むしろ、その理由は何であろうか、専攻医のシステムに問題がないか、
そもそも、専攻医を続けることの意義は何だろうか」と熟慮する姿勢が、生産的なものの見方ではないでしょうか。

例えば、これが医師以外の世界であれば、転職は比較的一般的なことで、
上記のような考え方の人は相対的に少ないのではないかと思います。

例その2

上司が部下に仕事を振り分ける際に、「勉強になるから、役に立つから苦労してもやっておこう」と発言したとします。

この言葉は、部下が「この仕事は誰かがやらなければならないことであり、そして自分はこの仕事をやりたい、
またやることは自分のスキルアップにつながる、そして私は自分のスキルをアップしたいと心から思っている」
という考えであることを前提していることにはならないでしょうか。

部下は、仕事に対して「食い扶持を稼ぐために行っており、不要な仕事は避けたいなぁ」と考えているかもしれないし、
「スキルアップは望ましいが、今日は仕事をしたい気分ではない」と考えているかもしれません。

この場合、部下のキャラクターをよく知っていれば全く問題ないこともあるでしょう。
しかし、「Aの仕事をお願いしてもいいですか?」に留めるのがよいように思います。

何事においても、他者のある行為に対するモチベーションや姿勢を透視することは出来ないでしょう。

つまり、あなたはやりたい事が無かったのではない、やりたいことに気付いていないだけかもしれない、
或いは、心から100%やりたいことではないにせよ、まずまず取り組んで、折り合いをつけて生きていくというように、
自分の置かれている状況を俯瞰的にみて、謙虚に、自分を過信しないように生きていくことが大切ではないかと思います。
(相手の気持がわかるなどと勘違いをしない、人の気持ちを決めつけない)

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  1. 2020/02/24(月) 23:38:00|
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Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
①DENON PMA-50 + Zensor1 (USB-DACプリメインアンプ+スピーカー)
②iPod Classic+TEAC-HAp50(ヘッドフォンアンプ)
③ONKYO DP-X1A のいずれかで聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
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